相対参照と絶対参照の違いをキチンと理解する
Excelを使っていると悩ましいのが、関数や計算式をコピーしたとき正しい結果が得られないときです。セルの参照位置がずれてエラーが表示されたり、正しい結果が得られなかったりするケースです。コピーによってセルの参照がずれてほしくないときは「絶対参照」にします。
計算式をコピーして、正しい計算結果を得られるようにするために2つのセルの参照方法「絶対参照」と「相対参照」の考え方を解説します。「相対参照」と「絶対参照」をキチンと理解しますと、Excelの関数が自由自在に活用できるようになります。
相対参照と絶対参照の目次
- 1.セルの参照
- 2.セルの参照は絶対参照と相対参照がある
- 3.相対参照
- 4.絶対参照
- 5.絶対参照を指定するF4キー
- 6.絶対参照を使って「累計」を計算する
セルの参照
セル参照とは図1のように、セルやセル範囲を計算対象としている状態のことです。
セルの参照は絶対参照と相対参照がある
セルの参照は「相対参照」と「絶対参照」があります。相対参照は、「あるセルから左右に○列、上下に○行」という形式でセルを参照します。相対参照のセルをオートフィルやコピー&ペースト(貼り付け)すると、そのコピー先と同じ分だけ参照先がずれます。
絶対参照は、相対参照と違いセルの参照が固定されます。絶対参照のセルをオートフィルやコピー&ペースト(貼り付け)しても、セルの参照先は固定されるため、変わりません。
絶対参照には、行だけを絶対参照、列だけを絶対参照にすることができます。これを「複合参照」といいます。
相対参照
相対参照は「あるセルから左右に○列、上下に○行」という形式でされている参照です。相対参照されているセルをコピー&ペーストすると、そのコピー先と同じ分参照先がずれていきます。
図2は相対参照の例でアルバイトの給与を計算で、「時給×勤務時間」で週給を計算しています。セル【E4】に「=C4*D4」と入力し、セル【E4】の計算式をセル【E5】からセル【E10】にコピーしています。
セル【E5】はセル【E4】の一行下ですから、コピーで「=C5*D5」になります。このように通常は計算式をコピーしてセルの参照が都合良くずれてくれます。このおかげで、計算式を作成したものをほかのセルにコピーすることで、効率よく計算式の入力が行えます。
絶対参照
図3は時給が全員同じで、セル【C3】に入力しています。「時給×勤務時間」をセル【D6】に「=C3*C6」と入力し、セル【D6】の計算式をセル【D7】からセル【D12】にコピーしています。セル【D6】以外の週給を見ると、明らかに計算結果がおかしいことが分かります。
この原因は時給のセル【C3】がコピーによって参照位置がずれているためです。セル【D7】はセル【D6】の一行下ですから、コピーによってセル【C3】の1行下、セル【C6】の1行下から「=C4*C7」になります。
時給のセル【C3】をコピーしてもずれないように、コピー元になる計算式セル【D6】のセル【C3】の指定を「絶対参照」に変更します。絶対参照の指定は列または行の前に「$」記号を付けます。
セル【D6】をクリックします。 F2 キーを押して計算式を表示させます。「C3」の左、真ん中、右のいずれかをクリックします。絶対参照を指定するため、 F4 キーを押します。絶対参照を表す「$C$3」になります。
計算式の修正を確定させるため、 Enter キーを押します。セル【D6】の計算式をセル【D7】からセル【D12】にコピーします。コピーしてもセル【C3】が固定されるため、正しい週給が計算されます(図4)。
なお、セル【D6】の絶対参照「$C$3」において、行だけ絶対参照にする複合参照の「C$3」としても同様の結果が得られます。
絶対参照を指定するF4キー
絶対参照をしているセルは、絶対参照の形式に応じ「ドルマーク($)」がついています。なお、絶対参照は、計算式にドルマークをタイプしてもできますが、計算式の編集モードで F4 を押すことでつけることができます。
ここで、 F4 を押す回数に応じて変わる参照についてまとめておきましょう。
ここではセル【C3】を例に参照パターンを示しています。
F4を押す回数 | 表示 | コピー&ペースト時の取り扱い |
---|---|---|
0回 | C3 | 相対参照。上下にも左右にも参照先がずれる |
1回 | $C$3 | 絶対参照。上下にも左右にも参照先は固定 |
2回 | C$3 | 上下の参照はずれず、左右のみずれる(行を示す3のみ$がついている) |
3回 | $C3 | 左右の参照はずれず、上下のみずれる(列を示すCにのみ$がついている) |
絶対参照を使って「累計」を計算する
Excelで集計表を作成すると累計を求める機会があります。SUM関数と絶対参照を使いますと、累計を求めるときとても便利です。
累計はSUM関数の引数の一方を絶対参照にすることで計算できます。
図6はセル範囲【D5:D19】の来場者数の累計をセル範囲【E5:E19】に求めます。セル【E5】にSUM関数で以下の式を入力します。
=SUM(D$5:D5)
SUM関数の引数の先頭を「D$5」と複合参照することがポイントです。これによって、計算式をコピーしてもセル【D5】の位置がずれません。セル【E5】は1日の来場者数、セル【E6】は1日と2日の来場者数というように1日から15日までの累計が求まります。
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