LANなどのネットワークシステムは、集中処理システム(ホスト集中処理システム)と分散処理システムの二つに分けられる。また、分散処理システムは、垂直分散システムと水平分散システムに分けられる。
集中処理システム
集中処理システムでは、一つのコンピューターですべての処理を行う。集中処理システムのメリットは、一つのコンピューターですべてを管理するため運用管理やセキュリティー管理が行いやすい。デメリットは、ホストコンピューターに障害(故障)が発生すると、システム全体が停止する(システムダウン)。
Point 集中処理システム
- 保守や運用管理、セキュリティー管理が容易である
- ホストコンピューターが故障するとシステム全体が停止してしまう
分散処理システム
集中処理システムに対して、分散処理システムは、複数のコンピューターで分散して処理を行う。
ピアツーピア型のようにLAN上のコンピューターがすべて対等な立場にある場合を水平分散システムという。
クライアントサーバー型のように、サービスを提供する側と、サービスを受ける側が明確に分かれている場合を垂直機能分散システムという。
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Point 垂直分散システムと水平分散システム
- コンピュータの役割が明確に分かれている → 垂直分散システム
- コンピュータの立場が対等の立場にある → 水平分散システム
分散処理システムのメリットは、複数のコンピューターで処理を行うため一つのコンピューターが故障しても、システム全体が停止することは少ない。したがって、LANの信頼性が高い。また、機能の拡張が容易である。デメリットは、複数のコンピューターで処理を行うため、集中処理システムに比べて保守やセキュリティー管理、運用が複雑になる。
Point 分散処理システム
- LANの信頼性が高い
- 機能の拡張が容易である
- 保守やセキュリティー管理、運用管理が複雑になる
《例題》
集中処理システムと比較した場合の分散処理システムの特徴に関して,正しい記述はどれか。
(初級シスアド 平成6年度 午前 問36)
- ア 一部の装置の故障がシステム全体の停止につながることが多い。
- イ 機能の拡張や業務量の増大に対応したシステムの拡張などが困難である。
- ウ 機密保護やセキュリティの確保が容易である。
- エ システム全体を効率よく運用するための運用管理が複雑になりやすい。
- オ ネットワークの性能はシステム全体の性能にあまり影響を与えない。
《解説》
正解:エ
分散処理システムでは、複数のコンピューターで処理を行うため、運用管理やセキュリティー管理が複雑になる。
- ア 故障した装置の機能は使えないが、ほかの装置の機能は使える。したがって、システム全体の停止にはならない。
- イ 集中処理システムに比べて分散処理システムは、必要な機能のサーバーを増設が容易である。したがって、機能の拡張は容易である。
- ウ 分散処理システムは、装置が分散するので、セキュリティー管理や運用複雑になる。
- エ システム全体を効率よく運用するための運用管理が複雑になりやすい。
- オ ネットワークの性能は、集中処理システムや分散処理システムに関係なくネットワークシステムシステム全体の性能に大きな影響を与える。
最近では、テレビや音楽プレーヤーになる携帯電話が発売されている。この携帯電話を落として壊してしまったらテレビを見ることをも音楽を聞くこともできなくなってしまう。これが集中処理システムのイメージである。
携帯電話と音楽プレーヤーを別々に持っていると、携帯電話が壊れても音楽プレーヤーで音楽は聞ける。ただし、携帯電話と音楽プレーヤーを二つ持つ分、紛失などのリスクは高くなる。これが、分散処理システムのイメージである。