初級シスアド 過去問題 平成15年度 春期 午後(問5)

 
■問5■
 不良品発生状況の分析に関する次の記述を読んで,設問1,2に答えよ。

 ある工場では金属を加工し,重量が軽いものから重いものまで,いろいろな品種の金属部品を製造している。
 規格どおりに加工された場合の重量(以下,規格重量という)は品種ごとに決まっている。しかし,現実には加工精度のバラッキなどの原因によって,規格重量に対して若干の差が出る。そこで出荷可否判定のため,20個に1個の割合で部品の重量検査を行っている。検査で合格と判定される範囲の上限と下限は,品種ごとに決まっている。
 1ロット(連続して製造した同一品種の部品)のうちで,検査対象としたすべての部品が合格と判定された場合,そのロットを出荷する。一つでも不合格の部品(以下,不良品という)が見つかった場合,そのロットのすべての部品を検査し,合格した部品だけを出荷する。1ロットの部品数(以下,ロットサイズという)は1,000個程度から数万個程度までの幅がある。
 不良品が発生すると,検査コストの増加や出荷遅延などによる損失が発生する。そこで,不良品による損失を削減するため,製造現場に詳しいY君とデータ処理が得意なZ君が協力して,まず,コンピュータに蓄積されている検査結果(品種,ロット番号,検査日時,重量など)を用いて不良品の発生状況を分析することにした。
■設問1■
 Y君とZ君による不良品の発生状況の分析に関する次の記述中の 【   】 に入れる適切な字句を,解答群の中から違べ。
 
Y君 僕の経験では,品種によって不良品数が違うと思うが,どうだろうか。」
Z君 品種ごとに不良品数を集計してみると,その差は大きい。」
Y君 それでは,不良品数が多い品種について重点的に対策を講じれば不良品削減効果が期待できるはずなので,不良品数の多い品種を探そう。」
Z君 不良品がどの品種に偏っているかを調べるためには,【  a  】 が有効だ。縦軸に 【  b  】,横軸に 【  c  】 とした 【  a  】 を作ろう。」
Y君 作成した 【  a  】 を見ると,全品種のうち特に不良品数の多い約20%の品種で全不良品数の約80%を占めていることが一目で分かる。この約20%の品種はほかの品種と何が違うのだろうか。」

 Y君とZ君は品種の属性の違いを調べた。

Z君 調べた結果,不良品数の多い約20%の品種のほとんどは,ある特定値以下の規格重量をもつ軽い品種であるということが分かった。さらに,これらの品種に特に不良品数が多いのは,他品種と比べて,製造数が多いからではなく,不良率が高いからであるということも分かった。」
Y君 それなら,すべての品種について規格重量と不良率の関係を調べよう。」
Z君 縦軸を 【  d  】,横軸を 【  e  】 とした散布図を見れば,両者の関係が分かる。この図を見ると,領域1,2,3の三つに分けて考えることができそうだ(図1)。」

         
 
Y君 ほとんどの品種は不良率が小さいので,領域3に集中している。」
Z君 領域1には少数の品種が存在するが,領域2にはほとんど存在しない。」
Y君 つまり,不良率が高い品種の規格重量は特定値以下に限定されるということだ。」
Z君 共通の属性をもつ品種の集まりを1個の円で表してみよう(図2)。図2で,規格重量が特定値以下の品種の集まりを左側の円,不良率の高い品種の集まりを右側の円で表すと,どちらにも含まれる品種は2個の円の重なった部分として表される。不良率の高い品種のほとんどが 【  f  】 に含まれていて,【  g  】 に含まれている品種はほとんどない。しかし,規格重量が小さいにもかかわらず不良率が高くない品種,つまり 【  h  】 の領域に含まれる品種は多数ある。」
Y君 ということは,規格重量の大小だけではなく,ほかにも不良率が高くなる原因があるかもしれないということだろう。」

        
 
aに関する解答群
 ア 円グラフ  イ 散布図 ウ パレート図 エ 要因分析図
 オ レーダチャート  
 
b,dに関する解答群
 ア 製造数量と累積製造数 イ 不良品数
 ウ 不良品数と不良品全体に占める割合の累積
 エ 不良率 オ 不良率と不良率の累積
 
c,eに関する解答群
 ア 規格重量 イ 規格重量の大きい順の品種
 ウ 検査で合格と判定される範囲の下限 エ 検査で合格と判定される範囲の上限
 オ 製造数量の多い順の品種 カ 不良品数の多い順の品種
 キ 不良率の高い順の品種
 
f〜hに関する解答群
 ア I  イ U ウ V エ W

 

■設問2■
 不良率の分析に関する次の記述中の 【   】 に入れる適切な字句を,解答群の中から選べ。
 
Y君 規格重量以外の原因について手掛かりを探そう。」
Z君 ロットごとに調べると,同じ品種でもロットによって不良率が大きく異なることが分かった。ロットの違いから不良原因を探せないだろうか。」

 Y君とZ君はロットの属性の違いを調べた。ロットサイズと不良率の関係を調べると,規格重量と不良率の関係を調べたときと似た傾向が見つかった。

Z君 大半のロットは不良率が低い。不良率の高いロットのほとんどは,ロットサイズがある特定値以下である。」
Y君 規格重量は品種ごとに決まっていて,ロットサイズは生産計画によって決まる。すなわち,【  i  】 決定されている。しかし,この二つは不良率に影響を与えている。これまでの調査結果から,【  j  】 ロットの不良率が高いという仮説が考えられる。」
Z君 その仮説を確かめるために,x軸に規格重量,y軸にロットサイズ,z軸に不良率をとって,【  k  】 を作成してみよう。仮説が正しければ原因追及の手掛かりになる。」
Y君 それでは,この手掛かりを基に,製造現場で不良品発生の原因を調べてみよう。」
 
iに関する解答群
 ア 規格重量とロットサイズは互いに無関係に
 イ 規格重量によってロットサイズが
 ウ 品種を決定すると規格重量だけでなく,ロットサイズが自動的に
 エ ロットサイズによって規格重量が
 
jに関する解答群
 ア 規格重量が特定値以下,かつ,ロットサイズが特定値以下の
 イ 規格重量が特定値以下なのでロットサイズが特定値以下となった
 ウ ロットサイズが特定値以下なので規格重量が特定値以下となった
 
kに関する解答群
 ア 品種ごとにプロットする三次元散布図
 イ 品種ごとに棒を描く三次元棒グラフ
 ウ ロットごとにプロットする三次元散布図
 エ ロットごとに棒を描く三次元棒グラフ

 

■答え■
設問1 : a−ウ,b−ウ,c−カ,d−エ,e−ア,f−イ,g−ウ,h−ア
設問2 : i−ア,j−ア,k−ウ

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