ローン審査業務の改善に関する次の記述を読んで,設問1〜3に答えよ。
クレジット会社のT社では,各種ローンを取り扱っている。現在,ローンの審査に関する業務(以下,審査業務という)は,審査管理システム(以下,システムという)を使用して,70か所の営業所で
“予備審査業務” を行い,その後本社で “本審査業務” を行っている。
T社では,多様化するローン商品に関して,営業所での営業活動に充てる時間を増やすことを目的に業務手順を見直し,審査業務の効率化と費用の削減を図ることになった。
(1) |
営業所が行う作業の流れは,図1のとおりである。ここで,図中の時間は,各作業の総処理時間をT社あてに届いたすべてのローン申込書の件数で割り,10件当たりの処理時間に換算したものであり,これを平均作業時間という。
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(2) |
各作業の内容は,次のとおりである。 |
@ |
書類チェック:ローン申込書の記入不備,不足している書類がないかなどを確認する。 |
A |
データ登録:ローン申込書に記入されている申込者の氏名,住所,電話番号,引落口座,勤務先,勤務年数などをシステムに登録する。 |
B |
データ精査:データ登録内容をローン申込書の記入内容と照合して,誤りがないことを確認する。 |
C |
信用情報照会:登録された申込者のデータを基に,申込者の信用情報を照会する。 |
D |
引落口座確認:登録された申込者のデータを基に,引落口座を確認する。 |
(3) |
予備審査が完了したローン申込書,信用情報照会の結果,引落口座確認の結果を取りまとめ,本社あてに一括して発送している。 |
(4) |
予備審査は,正社員がほかの業務と兼任して行っている。 |
(1) |
営業所から送付されたローン申込書に対し,本社で行う作業の流れと平均作業時間は,図2のとおりである。ここで,平均作業時間は予備審査と同様に,各作業の総処理時間をT社あてに届いたすべてのローン申込書の件数で割り,10件当たりの処理時間に換算したものである。
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(2) |
各作業の内容は,次のとおりである。 |
@ |
担当者審査:登録された申込者のデータ,信用情報照会の結果,引落口座確認の結果を基に,ローンを実行できるかどうか審査する。 |
A |
役職者審査:役職者がローン申込みの金額を見て,一定金額以上のものに関しては,ローンを実行できるかどうか審査する。 |
B |
ローン実行:ローン申込者に対して必要書類の郵送などを行う。 |
C |
書類保管:ローン申込書,信用情報照会の結果,引落口座確認の結果を保管する。 |
(3) |
書類保管はパート社員が行っている。そのほかの作業は,正社員が行っている。 |
今回,審査業務の見直しを行うに当たり,次の二つの施策を実施することになった。
(1) |
予備審査業務を本社で行う。これによって,営業所での営業活動に充てる時間が増える。 |
(2) |
本社で行うことにした予備審査業務は,パート社員に担当させる。 |
(1) |
システムにスキャニング機能とOCR機能を追加する。書類チェックの後に,スキャニング機能とOCR機能を併用したスキャニング作業を行う。スキャニング作業では,ローン申込書をイメージデータ化してシステムに登録すると同時に,ローン申込書の記入内容の不備をチェックしながら文字データとしてシステムに登録する。これによって,書類チェックでは書類に不足がないことを確認すればよいので,平均作業時間を1/3に短縮することができる。 |
(2) |
システムにワークフロー機能を追加する。これまでローン申込書を受け渡していた作業間の連携を,システムに登録されたデータを利用して行う。 |
施策の効果を検討することにした。ここで,T社あてに届くローン申込書を1か月当たり20,000件とし,1時間当たりのコストを,正社員が3,000円,パート社員が1,500円とする。
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施策1だけを実施した場合に見込まれる効果に関する次の記述中の
【 】
に入れる適切な字句を,解答群の中から選べ。
見込まれる効果として,施策1だけを実施することによって削減できるコストを算出する。
(現状のコスト)
(1) |
まず,正社員が担当している作業とパート社員が担当している作業に関する平均作業時間の合計を,それぞれ求める。正社員は,予備審査業務と本審査業務の一部を担当するので,平均作業時間の合計は【
a 】分である。パート社員は,本審査業務のうちの書類保管作業を担当するので,平均作業時間の合計は【 b 】分である。 |
(2) |
1か月当たりの正社員のコストは次の式によって求める。
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(3) |
1か月当たりのパート社員のコストは次の式によって求める。
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(4) |
結果として,現状の1か月当たりのコストは9,300,000円となる。 |
(1) |
施策1だけを実施した場合のコストは,次の手順で算出する。 |
@ |
本社で行うことにした予備審査業務に関して,担当が正社員からパート社員に変更される作業の平均作業時間の合計を求める。 |
A |
@で求めた平均作業時間の合計に,正社員とパート社員の1時間当たりのコスト差を乗ずる。 |
(2) |
結果として,施策1だけを実施した場合の1か月当たりのコストは,【 h 】円になる。 |
ア 6 |
イ 33 |
ウ 39 |
エ 57 |
オ 63 |
カ 90 |
ア 1,000 |
イ 1,500 |
ウ 2,000 |
エ 3,000 |
オ 10,000 |
カ 15,000 |
キ 20,000 |
ク 30,000 |
ア 300,000 |
イ 1,950,000 |
ウ 2,850,000 |
エ 4,200,000 |
オ 5,100,000 |
カ 6,450,000 |
キ 7,350,000 |
ク 9,000,000 |
ア 2,850,000 |
イ 3,150,000 |
ウ 3,300,000 |
エ 6,000,000 |
オ 6,450,000 |
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同時に実施する二つの施策のうち,施策2だけの投資コストと,それによって見込まれる効果の検討に関する次の記述中の
【 】
に入れる適切な字句を,解答群の中から選べ。
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見込まれる効果として,施策2を実施することによって削減できるコストを算出することにした。
施策1と同時に施策2を実施した場合の1か月当たりの平均作業時間の合計は
【 o 】 時間,1か月当たりのコストは
【 p 】 万円となる。
施策1だけを実施すると想定した場合のコストから
【 p 】 万円を減じることで,施策2で削減できるコストが算出できる。
なお,施策2を実施した年からコスト削減ができるものとする。 |
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施策2でシステムに追加する機能に関する初期コストと年間運用コストは,表のとおりである。
なお,年間運用コストは施策2を実施した翌年から発生するものとする。 |
以上のことから,削減できるコストの累計が,初期コストと年間運用コストの累計を初めて上回るのは
【 q 】 年目であることが分かる。
ア 2,500 |
イ 2,600 |
ウ 2,650 |
エ 2,700 |
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