損益分岐点

■損益分岐点■
損益分岐点とは、損失が出るか利益が出るかの分かれ目となる売上高や数量のことである。前者を損益分岐点売上高といい、後者を損益分岐点販売数量という。ここでは、損益分岐点売上高を損益分岐点と呼ぶことにする。   

損益分岐点の定義

損益分岐点は、損失も利益も出ない売上高、つまり、利益がゼロとなる売上高と考えることができる。損益分岐点の売上高よりも売上高が上がれば利益が発生し、逆に下がれば損失が発生する。損益分岐点は低ければ低いほど利益が多くなり、企業経営が安定する。
  損益分岐点というと難しく感じるかもしれないが要するに、会社に入ってくるお金と、出ていくお金を差引きして会社に残るお金がゼロのときの売上高と考えてほしい。
             
1.変動費と固定費
損益分岐点を求めるためには、財務会計で分類している費用を固定費と変動費に分類しなおす必要がある。そのためにまず、固定費と変動費を理解しなくてはならない。財務会計では、費用の分類はその費用の発生源によって分類する。損益分岐点の計算においては、財務会計の分類とは違い売り上げの増減によって費用が増減するかしないかによって分類する。

   変動費は売上高や販売数の増減によって増減する費用のことである。商品の仕入れ、材料費、配達費などが変動費にあたる。変動費を売上高で割ったものを変動費率という。これは、売上高に対して、変動費の割合を示したものである。一方、固定費は、売上高や販売数などの増減に関係なく一定に費用発生のことである。いいかえれば、商品が1つも売れなくても、製品を1つも生産しなくても発生する費用である。役員報酬、固定資産税、支払利息、人件費、賃貸料などが固定費にあたる。

              

            

2.限界利益
  限界利益とは、売上が1単位増えることで増える利益のことである。限界利益は、売上高から変動費を引いたものである。そして、限界利益から固定費を引いたものが利益(経常利益)となる。
  限界利益を売上高で割った数値を限界利益率という。限界利益率は、売上が1単位増えることで利益がどれだけ増えるかという割合を表している。
            
3.損益分岐点の計算
  損益分岐点は、前述したように限界利益と固定費が同じ金額となる売上高のことである。いいかえれば、利益がゼロになる売上高のことである。売上高、変動費、固定費と利益の関係はつぎのようになっている。
       
よって、利益は、以下の式で求められる。
      
  損益分岐点は、利益がゼロになる売上高のことである。つまり、利益=0である。したがって、損益分岐点はつぎの式で求められる。
                 
では、実際に損益分岐点を計算してみよう。

【例題1】  損益計算書から算出した各項目が表の数値のとき,損益分岐点は何千円か。
      
【解 説】
  損益分岐点売上高を求める式にそれぞれの値を当てはめれば、損益分岐点売上高を計算することができる。
      
別の解き方として、限界利益率を求めて、損益分岐点を計算してもよい。
      
【例題2】 売上高が1億円で、商品の原価が6,000万円、その他諸経費が2,000万円であった。総費用のうち
            固定費が3,000万円だった。このとき利益はいくらになるか。また、損益分岐点売上高はいくらか。
【解  説】  

  まず、利益を求める。利益は、売上高−総費用で求められる。また、総費用は、商品の原価+その他諸経費である。
      100,000,000 − (60,000,000 + 20,000,000) = 20,000,000円

  つぎに総費用と固定費から変動費を求める。変動費は、総費用−固定費で求められる。
     60,000,000 + 20,000,000 − 30,000,000 = 50,000,000円

  変動費が求まったので、損益分岐点を求める。損益分岐点は、固定費÷(1−変動費率)で計算できる。変動費率は、変動費÷売上高である。
    30,000,000 ÷ (1−50,000,000÷100,000,000)=60,000,000円

   利益は、20,000,000円
   損益分岐点売上高は、60,000,000円

*(固定費+利益)÷売上高で限界利益率を求め、損益分岐点売上高を求めてもよい。

 

4.損益分岐点図表
  損益分岐点と売上高、固定費、変動費、総費用の関係を図示したものが損益分岐点図表だ。損益分岐点は、公式を使って計算できるが、損益分岐点図表を使って求めることもできる。ここでは、売上高や各費用との関係を損益分岐点図表で理解して欲しい。
損益分岐点グラフ
関連ページ

ITパスポート講座会計と財務
ITパスポート試験で出題されるの会計と財務の解説

貸借対照表
貸借対照表の解説

損益計算書
損益計算書の解説

キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書の解説

お勧め書籍
損益分岐点に関する書籍
損益分岐点に関する書籍のご紹介です。

会計の書籍
会計の入門書のご紹介です。

経営分析に関する書籍
損益分岐点をはじめ決算書の読み方が分かる書籍のご紹介です。

セブンアンドワイ
セブンアドワイは、お近くのセブンイレブンで書籍を受け取るなら送料・手数料0円です。
1,500円以上の購入なら宅配送料は0円です。
図解これならできる!経営分析

PHP研究所 (2003-09-10出版)

石島 洋一【著】
[B5 判] NDC分類:336.83 販売価:\999(税込) (本体価:\952)

たいへん分かりやすく簿記などの知識がなくても決算書が読めるようになります。

初級シスアド講座

初級シスアド 分野別過去問題 初級シスアド 過去問題

SQL講座

ITパスポート試験情報

 Copyright (C) 2004 Pursue Inc., All Rights Reserved